『鉄腕アトム』の歌詞、ご存知の方も多いでしょう。
歌詞を作ったのは谷川俊太郎さん。その谷川さんのトークイベントに参加してきましたよ。
開口一番「ここのパンは美味しいので、一日一食の習慣を破ってしまった」ですって。
「人たらし」という言葉を時々見聞きしますが、谷川さんはまさにそんな方。穏やかな口調で茶目っ気たっぷりにトークを繰り広げます。2時間近く、あっという間でした。ほんの一部をご紹介します。
テーマは、谷川さんとも親交の深かった武満徹さんについて。
前半は主に詩人としての谷川さんのこと、後半は武満徹さんのこと(専門家の方がトークを担当されました)、そして最後に朗読コーナー。合間には事前に寄せられた質問に答える、というコーナーも。
「僕は教養がないから」と口癖のように話されているそうで、この日も聞き手の一人だったキューブリックの店長さんから「いつもそんなことを(^_^;)」と突っ込まれる場面もあり、和気藹々とイベントが進行していきます。
『鉄腕アトム』の話もすごかったですね〜なんでも、楽譜が届き「10万馬力」など幾つかのキーワードが書いてあって、そこに詩をつけたそうですが「1年でお金がどのぐらいもらえるのかと思って試算してみたら1億円になった」「でもなかなか支払われないから、50万で売ります!と言って買ってもらった」という生々しいエピソードが。
また、武満徹さんが映画音楽をたくさん作られたということもあり、映画の話が続々と飛び出しました。残念ながら映画事情には詳しくないので、うまく再現できませんが‥武満さんはタルコフスキー作品が好きだったそうです。
もともとは、『春の祭典』で知られるストラヴィンスキーに見出された方なのですよね。外国でも武満さんの音楽はとても人気があるようですよ。
ところで、長きにわたり様々なことに携わっている谷川俊太郎さん。
「小学生に、生きてるんだ!死んだ人だと思ってた、と言われるんだよねえ」と苦笑まじりに話してくださいました。
『PEANUTS』の翻訳を担当した時のこと、武満徹さんの作品でお気に入りの曲、眠るのが大好きだという話などなど、どのエピソードもほんとに素敵。そんな中、質問コーナーがありましたので幾つかピックアップ。
問:言葉で伝えるのがうまくいかない時、どうしていますか?
答:前の奥さんには、急に抱きつくってことをよくしてた。言葉にならなくても、それで何か伝わるでしょ?
問:別荘の建築を篠原一男さんにお願いした理由は?
答:マニアックな質問だな〜ひょっとして身内か?(笑)
これは、篠原一男さんの師匠の師匠の方に本当はお願いしたかったのだけど、それはあまりにも恐れ多いので‥ということになって、こういうことになったというお話でした。
谷川:別荘の建築をお願いするのに詩にしたんです
会場:えーっ!
内容は忘れたそうですが‥
他には、前の奥様が不眠症で「よく眠れるので奥さんに怒られてた」とか「焼酎のお湯割を飲むことを覚えたんだけど飲んでも酔えないんです」とか。
そして、「詩はお腹の中のモヤモヤしたところから書きたい、言葉になる前の場所から」という言葉には大いに励まされました。
今はSNSで言葉が多すぎる、うるさすぎる時代だから僕は無口になるんだよ、とイベントの中で伺うことができて、改めて様々なことを思った日だったのでした。
今日もいい日でありますように。
☆さらりとこんなお話も☆
武満徹さんとはどんな話をされていたんですか?と訊かれた谷川俊太郎さん。
「ん?馬鹿話ばっかりしてましたよ」
どんな交流でしたか?決闘をしたとか‥という質問にはこんな不思議なエピソードを。
「武満が奥さんの髪の毛でおもちゃの銃に照準を作ってきた。それで的を撃って遊んでいた」
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