北九州の小倉で行われた、佐々部清監督の講演会に参加してきましたよ^^
お話上手の監督、今の日本映画の現状については厳しい言葉もありましたが、茶目っ気たっぷりのあったかい1時間でした。
覚えている範囲でレポを。
予告編を見ていただきます‥という司会者の言葉に、どよめきが。やはり、映画好きな皆さんが集まっていたようですね♩
流れたのは『チルソクの夏』、『カーテンコール』、『八重子のハミング』だったでしょうか。どの映像も切なくて、涙を拭っている方多かったですよ〜(私もですが)。
監督は、下関市出身。小倉にもよく映画を観にいらしていたとのこと。
「下関には新作映画が二ヶ月遅れぐらいで来るんです。だから小倉まで観に行ってた。同級生は『下関はだめだ』とか言って小倉でデートする奴が多かったけど、僕は残念ながら一人で映画(笑)。」
昭和館大好きです、とニコニコされてましたよ^^
『八重子のハミング』
映画が完成するまで7年かかっています。
なかなか他では聞けないことも多くて。『いい日旅立ち』が主題歌になっていて、それは当然監督が谷村新司さんの事務所にお願いしたわけですが、エピソードがすごいのです。
最初、この金額で新曲を、という依頼をしたそうですが、やはりオケを使う・スタジオを借りる・曲を作る・歌詞を書くなどなど‥で、監督が提示した金額を軽く超えてしまうことがわかり、それは難しいという話になったとか。
そのかわり、谷村新司さんがピアノ1本で歌う『いい日旅立ち』『昴』など数曲の録音を用意してもらうことができ、「これらはすでに発表が済んでいる曲なので、監督の好きなように使ってもらって構わないし、金額もお任せします」と。
具体的な金額は書かずにおきますが、何かを創るというのはとても大変なことなのです‥‥
山口県の全館で先行上映されていますが、かなりのご苦労があったようでした。
助監督時代
高倉健さんの『鉄道員(ぽっぽや)』のこと、ドラマ『北の国から』のこと。
健さんと二人きりで過ごした時間のこと。
若いな、と言われたこと。
一言では語りつくせないであろう日々のことを、少しだけ覗かせていただきました。
「北九州の人はみんな高倉健さんのこと大好きですよね」
大切にしています
「速(はや)撮りの監督、なんて言われるんですけれど、それは準備をしっかりやっているからなんです」
準備を大切にする、準備の時間を長くとる。
他にはどんなことを大切にしていらっしゃるのでしょう?
「縦の構図を大事にします‥難しいかな?例えば」
と、『ツレがうつになりまして。』を例にとって説明してくださいました。
原作ではマンションの一室に夫婦とイグアナがいるのですが、彼らの距離感をより近づけるために、和室という設定にしたとのこと。
「夫婦が布団で寝たり起きたりして、畳にイグアナが這い回って。襖を開ければ庭があって、そこに雨を降らせたり紫陽花を咲かせることもできる」と。ただし。
「照明さんが大変なんです」
マンションだと、その一室で照明を考えればよいのだそうですが。
「部屋、庭、昼か夜か、曇りか雨か」
つまりお仕事が増えると言ってはなんですが、照明をととのえる場所や回数が必然的に増えるということになっていくわけですよね‥。でも、確かに監督の作品は、どんな閉塞的な場面でも空が見えたり遠くまで見渡せて、息苦しくならない気がします。
「『篤姫』コンビ再び、なんて言われたりしてスポーツ紙全紙で大きく取り上げてもらいました。それで予算も増えた」
人の気配がない・色がない
「アニメが苦手なんです‥『この世界の片隅に』という大変素晴らしい作品がシネコンではかかってますが」
人の気配がないのが苦手なんです‥と佐々部監督。
今は、映画館自体の色がない。
昔は、あったかい気持ちになりたかったら松竹、ヤクザな気分だったら東映、Hな気分だったら日活など、それぞれの色があった。
そんなことを話してくださいました。
全国を回っています
「一番新しい映画は『八重子のハミング』、その前には斎藤工くんと高梨臨ちゃんで『種まく旅人〜夢のつぎ木〜』っていう映画を撮ってました。その舞台挨拶やキャンペーンで全国を回っています」
疲れるけれど、大切に作った映画を観ていただくのだから、なんだってできますという気持ちです、と監督。
「『八重子のハミング』福岡での上映は五月か六月ですが、必ず升毅さんときます!北九州でも上映します」
大きな拍手が起こります。
この作品、山口では『デスノート』と同日公開だったそうですが、観客動員数は二日目で『デスノート』の150パーセントだったとか。山口では、それこそ子供ちゃんからかなりの大人世代までが観ています。全国上映がとても待たれます。
ところで、全国を回っているといろんなハプニングがあるそうで‥
「山口の漁協で講演した時、司会の方が僕を紹介してくれるんですが『半落ち』を「中落ち」と言ったので、裏でそれを聞きながらずっこけました(^_^;)」
でも、機械的じゃなく数字ではない‥人の匂いがするし、漁協だから「中落ち」だったのかもな、と嫌な気持ちにはならなかったと明かしてくださいましたよ。
「僕の映画は地味です。アクションもなければ濡れ場もない」
だけど同世代の人たちから、”シネコンは入場の方法が難しい”とか”私たちの観たい映画がない”と言われることがある、と。
観た後にあったかい気持ちになって映画館を出ることができるような作品を作っていきたい、と岡山でも下関でもお話されていたな‥と思い出しました。
とっておきの秘密
『鉄道員(ぽっぽや)』のエピソードをいくつか教えてくださったのですけど、講演会のラストに
「秘密にしといてくださいね( ̄b ̄)」
と会場が「えーっ!!!!!」となった、ものすごい秘密を茶目っ気たっぷりに。
これは‥‥‥えっと、機会がありましたら監督から直接お聞きになっていただければ、と。
それを聞いた私たち、騒然💧
いつも通りの雑なレポですが、もしも楽しんでくださった方がいらしたら、ありがとうございます♩
今日もいい日でありますように。
☆監督になったわけ
佐々部監督は映画評論家になりたくて、淀川長治氏に弟子入りしたい旨の手紙を送ったことがあるそうですが「学校に行ったり、勉強したり、映画をたくさん観なさい」という返事をもらったとか。
そして、「映画を作ったらモテるかも」という動機から始まったという佐々部監督の映画人生、これからも続いていきます。
ちなみに、大学時代に監督の作品にヒロインとして出演した女性が奥様だそうです^^
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