蛙〜ダークスーツ#4

“蛙は自分が住んでいる水を全て飲み干すことはない”

という、いにしえからの言い伝えがあります。


種族は違うけれど、魚もおそらくそうでしょう。


人はともすれば、水を飲み干そうとしてしまうもの。

あるいは自分の周りの水が減り続けていることに気づかない。のどがカラカラに乾いて、初めて「周りの水」のほとんどを飲み干してしまったことを知るのです。

ハシバの“水”も干上がる寸前のような気がしますが…


秘書と重役との秘めごとが描かれていましたが、これは会長の“過去”や松木氏の抱えた“闇”をも暗示しています。そして、人事交流に名を借りたある不正とは。

一之瀬たちは次第にハシバの裏金に迫っていきますが、その手段はサスペンス映画さながら。

時には正攻法だけではなく、あの手この手で会社の再生のために行動を起こします。


役員ひとりひとりを味方につける。

その過程で思わぬ抵抗にあいながらも、ただひたすらに走り続ける戦士たち。彼らの連携プレーが、物語が進むごとに際立ってきています。

裏金という闇。

過去に目を向けろ、という会長からの伝言。謎が深まっていくようです。


もしも、闇を飲み干すことが出来るなら。消し去ることが出来るなら。

登場人物たちの思いが、複雑にドラマを彩っていきます。