昼顔〜ほんとうの顔



個人的には、伊藤歩さんが好きなので「(役柄上)いつか壊れてしまうんじゃ」と今から気になって仕方がありません…ちょっとクセのある、だけどそうと感じさせない不思議な魅力がある女優さんです。鈴を振るような声が素敵。

工さんとは、「最上のプロポーズ」で共演しています。(新さんとのCMもよく流れてますよね)


紗和のモノローグは、毎週揺れ動いています。画伯のアトリエで水面が揺れていましたが、まさにそんなイメージ。

モノローグとは、言わば観客に向けた噓のない告白のようなもの。他の登場人物には決して聞こえることがない「本音」です。


物語が進むにつれ、北野先生の妻に対する感情も少しずつ描かれていきます。


結婚しても、お仕事上旧姓を使っている方は(そして家庭も円満)実際に多くいらっしゃいますが、このドラマの中では妻が「折原」姓を名乗り続けることにより夫と妻、そして妻の実家との関係など見えてくるものがあります。

影の部分が浮き彫りになるのですよね… しかも彼の場合はセリフ以外の部分にそれが表れてくるので、余計に抱えた痛みが伝わってくるようです。

妻に本音を隠している、というよりその不器用な性格から言いだせずにいるのでしょうか。年上だということに遠慮があるのでしょうか。あるいは、ちょっといじわるな書き方をするなら、准教授になった妻への引け目、とか。だけど、男性としてのプライドもそこにはあって。

狭い空間に塊が不規則に積み上げられていくような、そんな息苦しさを覚えずにはいられません。


北野先生はどこか頑固そうな一面が見えて、それが苦手…不思議ですよね、姿も声も工さんなのに。

では、加藤画伯に惹かれるかというと…眼力に負けそうな気がします。 子どもちゃんのように「こわい~(泣)」とは申しませんが、近寄り難いものを感じることは確か。


そして、紗和や利佳子と自分を重ね合わせて、ということがどうしても出来ず。

おかげでまあまあフラットな感覚で、北野先生に感情移入しつつも、ちょっと遠くからドラマを観ることが出来ています(苦笑)。

すでにファン目線でもなければ、どういう目線なのやらよくわかりません💧


「同窓生」もカップルのどちらかが既婚者という設定になっていますが、「昼顔」では、既婚者同士が恋に堕ちてしまうという物語が語られていきます。悲劇の予感がするのは、ただの考え過ぎでしょうか。ドラマの中でまるで街を閉ざすように降り続ける雨は、何を物語っているのか。