昼顔〜甘い棘

今夜は「昼顔」第5話。いよいよ中盤です。


ドラマを毎週観ていて思うのは、“甘い棘ほど深く刺さって、抜けるときに痛みや傷を残していくんだな“と。 甘ければ甘いほど、それが実は凶器であることにも、更には刺さったことすら気づかずに、人は許されぬ恋に酔うのかも知れません。


人と人が出会うことは、ドラマの中でも語られているように本当に奇跡に等しいもの。

出会えたとしても離れてしまうことも多いのです。 幸せな結末を迎えるとは限らない。

利佳子と加藤画伯の会話は、一見すると大人の男女の言葉遊び。 ですが、実は子どもの口喧嘩にも似ています。

互いに惹かれ合っていても、大人ゆえに言えないこともある。逆に大人だから言ってしまうこともある。恋に限らず、私たちの日常にもそういったことは起こります。

画伯は利佳子が意図的にかどうなのか、置き忘れたピアスを捨てずに持っています。 そして彼が描いた利佳子の絵に、彼の人間性であったり本音が表れているように思います。作品には、その人自身が色濃く滲むものですから。


一方、紗和と北野先生はまるで少年と少女のように手をつなぎ、束の間のデートを楽しみます。教え子達の視線にも気づかぬまま…

互いの距離は少しずつ近づいていきますが、それぞれ夫であり妻でありという身。ふたりとも、これ以上近づいてはいけないという気持ちと惹かれ合う気持ちの間で揺れ動いていきます。

やがて学校が夏休みを迎え、再会の約束をした二人ですが、校長の一言や妻との夫婦生活を思い、北野先生の方から「今日は行けない」というメールを紗和に送ります。


もう会うことはないだろう、と思いながら同じ場所へ向かった二人。 エノキの下で顔を合わせ…蝉時雨からも風の音からも解き放たれて、キスを交わすのでした。 後戻りできないとわかっていながら。